松田養鶏醸

幻想人形演舞とかアイマスとか

森久保乃々がアイドルになった日

お世話になってます。

森久保乃々のプロデューサーの松田と申します。

令和3年8月30日15時。アイドルマスターシンデレラガールスターライトステージの新ブランフェス限定アイドルとして

[星降る森のおとぎ話]森久保乃々

が実装されました。

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フェス限を待ち続けてもう3年ほどになるでしょうか。嬉しいね。

 

この記事のメインは[星降る森のおとぎ話]の特訓コミュについての話になります。

そして、独自解釈がめちゃくちゃ強いです。『解釈違い』だったらごめんなさい。

 

今回のコミュは、乃々のアイドルとしての物語の大きな転換点となる、とても大切なお話でした。

ストーリーコミュやアイドルコミュ、「もりのくにから」の歌唱に匹敵する、いやそれ以上に大切な、物語の「転」に当たるであろう部分。正直、シンデレラでこんな描写がされるとは思っていなくて「デレステのサービス終了するんじゃないのか」と不安になったくらい大きなストーリーだったと私は捉えています。

 

森久保乃々の担当を名乗っていてまだこのカードを引けていない方は、できれば今すぐブラウザを閉じて次のフェスで乃々を引いて欲しい。或いは、この記事を読んだりネタバレに目を向けるのを、プラチケが出るまで待ってほしい。絶対に、自分の目で見てほしい。

そうでない方も、ぜひ今回のコミュをきっかけに、乃々の物語を知って、好きになってほしい。

つまり全員、引け、ということ。性能もとてもつよいし。

 

 

 

 

では早速、まずはネタバレから。

 

 

 

 

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特訓前のイラスト。童話の世界のような森の花畑の中で乃々とお話をします。後半の乃々の発言は[森のものがたり]を思い出しますね。

おとぎ話のお姫様みたいに綺麗な姿の自分をいっぱい撮ってもらう、と意気込んで?います。乃々が「いっぱい撮ってもらいます。」なんて。

このカードでは特訓コミュに限らず終始前向きな乃々が描かれています。

 

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撮影終了後。乃々から唐突にお礼が。何についてかと言えば、今回のすてきな撮影のこと……だけでは、ありませんでした。

 

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撮影の途中で、いろいろと思い出した。

アイドルになってから、今までのこと。

2012年11月6日にモバマスで[森久保乃々]と[森久保乃々+]が実装され、そして今日に至るまで。この世界では恐らく一年にも達していないのでしょう。

ぎゅっと詰まった彼女の足跡は、何度も後戻りして、何度も後ろを向いて、その場に留まろうとして、無理やり引っ張られたような跡も残っている。

それでも頑張って土を蹴って。気づけば、こんなにも勇ましく、美しく。そして。

 


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『楽しく』

乃々の一つのカミングアウト。

「アイドルのお仕事は……やっぱり、楽しいって思えて」

 

いつからでしょうか。

『森久保乃々といえば、すぐにアイドルを辞めたがる内気なアイドル』

そんな定説とは裏腹に、乃々がお仕事やアイドル活動を前向きな言葉で表現することは、今ではそんなに珍しいことではありません。

しかしそれらは「このお仕事は」「ユニットメンバーが頑張ってるから」「プロデューサーさんがいるから」などなど。いつも、そんな枕詞がついた少し限定的な表現でした。

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それでは今回はどうでしょう。

今の乃々が過去を振り返った時。

アイドルのお仕事を表現するための言葉は「楽しい」だった。

この事実が、どれだけ大きいことか。

乃々にとって『アイドル』はもはや、「辞めたい」ものでも「向いてない」ものでも「むり」なものでもなくなった。

乃々にとって、アイドルとは「楽しい」こと。

無理やり、半ば強引に。彼女をこの世界に引きずり込んだプロデューサーとして、彼女の口からそんな言葉を聞けたのは、一つの目標が達成されたような、そんな喜びでした。

 

ほんの少し自分語り。

ずっと乃々には聞けなかった。

「アイドルは楽しい?」という簡単な問答が。

それは、否定されるのが怖かったから。

自分(乃々のプロデューサー)は、嫌がる乃々を無理やりアイドルに仕立て上げた。まだ意思決定能力の弱い子供に対して、大人という優越的地位を振りかざした非常に自分勝手な行いです。森久保乃々をアイドルにしたその瞬間から、重い、それは重い十字架を背負っている。

その罪は、結果でしか報いることができません。『アイドルのプロデューサー』として、『アイドル』を森久保乃々という少女の人生を好転させ最大の幸せに導くものにする。そうでしか、自分を正当化できない。ああ悲しいかな、なんというエゴイスト。

……すなわち「アイドルは楽しいか」と彼女に聞いて、その回答が「No」だとすれば、それは自分の行いの全てが誤っていたということに他ならない。己の恥ずべき罪、そして過ちを眼前につきつけられるようなものです。それが、怖かった。だから、聞けなかった。

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そんな前提があったからこそ。

「アイドルは楽しいって思えて」

乃々がこの言葉を言ってくれたこと、その重さよ。

俺が、乃々をアイドルにしたことは間違いじゃなかった。

『もりのくにから』も、今回の言葉と同じようにその十字架を消し去ってくれるとても素晴らしい歌詞ですが、やっぱり彼女の口から直接明確に伝えてくれる、というのは素晴らしいものですね。

(ちなみに、ここの「楽しいって」の言い方がとてもとってもかわいい)

 

でもこのコミュはね。これで、これだけで終わりじゃないんだ。


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続きます。

前向きになれた。それは、今が楽しいから。

「未来はもっと楽しくなるかも」

なんてポジティブな発言なんでしょう。

 


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だから。

 

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そして、乃々の口から出た言葉は。

 

「まだアイドルでいたい」

 

でした。

 

聞いた瞬間、嗚咽が漏れました。

何を隠そうこれは、私がプロデューサーとして、乃々からどうしても聞きたかった言葉で、そして「アイドルマスターシンデレラガールズ」が終わるまで絶対にその望みは叶わないと思っていた言葉だったから。

 

この言葉は、言うなれば『乃々の物語』の一つの区切りなのです。

 

 

先ほども言った通り、乃々はアイドルをやりたくないアイドルでした。

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自分に自信がなく昔から臆病な彼女は、その自己評価の低さ故か、自分の外側にあるものに強い抵抗感を示していました。

「もりくぼなんかが分不相応なことをしたら嫌われてしまうかもしれない」

というような思考回路でしょうか。彼女の意志の根底には「嫌われたくない」という願望が見え隠れしています。

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(「見捨てられる」ことに対する恐怖)

 

それでは、そんな彼女がなぜアイドルをやっているのか?

答えは単純です。

「アイドルをやらされているから」

これに他なりません。

 

沢山のお仕事を経験して、一歩ずつゆっくりと乃々は変わっていきました。成長、と言う言葉の方が正しいでしょうか。

そんな成長ゆえか、彼女が「アイドルを辞めたい」と言っている姿を久しく見ていません。

それでも、実は乃々は今までに一度も「アイドルをしたい」とか「アイドルになりたい」と言ったことがありませんでした。

あくまで乃々は『アイドルをしたいわけではないけれど、周りから望まれてやっている』というスタンスを崩していないのです。

 

それは、傷つかないため。

『アイドルをやらされている』という立場は、乃々を守るとても頑強な殻であり、何よりも大きな逃げ道でした。

 

乃々は逃げてもいい。

「だって、もりくぼはアイドルはやらされてるだけだから」

乃々は隠れてもいい。

「だって、もりくぼはアイドルをしたいわけじゃないから」

乃々は「むりだ」と弱音を吐いてもいい。

「だって、もりくぼはアイドルに向いていないから」

 

なのになぜ乃々はアイドルを辞めないのか。

それは、

「応援してくれるファンの皆さんがいるから」

やらざるを得なく、

「一緒に頑張る友達がいるから」

やるしかなく、

「プロデューサーに迷惑をかけたくないから」

やりたくないけれど、やらされている。

 

裏を返せば、乃々がアイドルを続けているのはファンのせいであり、アイドル仲間のせいであり、なによりもプロデューサーのせいです。

アイドルに対して消極的であること。お仕事から逃げてしまうこと。アイドル活動で、例えば失敗してしまうこと。

乃々のそれらの行いの責任の所在をまだ中学生である彼女に求めるのはお門違いです。だって、乃々はやらされているだけなんだから。

彼女がアイドル活動を通して傷ついた時。

アイドルとして誰かを傷つけた時。

アイドルだから誰かに嫌われた時。

そして、乃々に対する批判や攻撃があったとして、それは全て周りやプロデューサーが被るべきもの。乃々がそれらに曝されることはない。

アイドルという光の当たる立場にいる彼女には、その光の強さの分どす黒い影ができてしまう。

「やる気ない奴がアイドルやるな」とか「もっとアイドルをやりたい子に出番を譲ればいいのに」とか「私の方がかわいいのに何であの子が!」とか。

そんな鋭利な言葉の刃は、たった一つの事実で、乃々には届かなくなるのです。

『森久保乃々は、自分ではアイドルをやりたくないのに、悪い大人にやらされてるんだ』

このただ一つの事実で、振り下ろされる刃の先は変わります。

「やる気ない奴にアイドルをやらせるな」が正しく「もっとアイドルをやりたい子に出番をあげればいいのに」が正しく「私をアイドルにしてよ!」が正しいのです。

『やりたくないのに大人に無理矢理アイドルをやらされて、森久保乃々ちゃんはなんて可哀想な子なんだ』『他人の為に頑張れる、森久保乃々ちゃんはなんて素晴らしい子なんだろう』が正しいのです。これこそが、事実です。

乃々はあくまで被害者だから。悪い大人にやらされているだけ。誰かのために仕方なくやっているだけ。そうでさえあれば、批判や否定、「嫌い」の矛先は乃々には向かない。乃々は傷つかない。

 

最強の防護壁です。彼女にとって最後のセーフティ。

だからきっと、乃々はいままでに言わなかった。

「アイドルをやりたい」とは、一言も。

どれだけ楽しい思いをしても、居心地が良くても。

乃々がアイドルを続ける理由は、ずっと彼女の外側にありました。

 

 

それでは、今回に立ち返りましょう。

乃々が「アイドルでいたい」と言った。誰がいるからじゃない。誰のためでもない。

アイドルが、楽しいから。アイドルを続けていったらもっと楽しいだろうから。だから、アイドルでいたい。

 

乃々は自分の中に、アイドルを続ける理由を見つけました。

 

そして、それを口にするんです。どれだけ勇気が必要だったのでしょう。並大抵の覚悟では無かったはずです。

これから、乃々に批判や否定の矛先が向いた時。

「だって、君がアイドルでいることを望んだんだろう」

「自分の意志で選んだことだろう」

と言われれば、彼女に逃げ道はありません。批判や否定に正面から立ち向かわなくてはならない。それが分からない彼女ではない。ずっと避けてきたんですから。

(もちろん、乃々の意思がどうあれ彼女をあらゆる攻撃から守るのが私(プロデューサー)であり、それは今後も変わりません。)

 

森久保乃々という少女のアイドルとしての物語の肝といえる部分。

「乃々はなぜアイドルをやっているのか?」

この問いの答えが変わったのです。

「アイドルにさせられたから」じゃない。

「アイドルでいたいと願ったから」なのです。

今までの成長や変化とは根本的に異なる物語の変容。

 

「アイドルにさせられた」少女が自分の意志でアイドルであることを選んだ。

森久保乃々が、『アイドルになった』。

 

そんな、乃々の物語の一章の終幕といってもおかしくないようなお話でした。

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これ、私の目標だったんですよ。乃々をアイドルにした上で、彼女のプロデューサーを名乗る上で、最大の目標。

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「乃々を辞めたくならないアイドルにする。」

アイドルの楽しさを知り、成長して強く大きくなった彼女に、「アイドルでいたい」と思ってもらう。

 

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次の目標は、まあ変わりません。

進み続けて、彼女に一番上からの景色を見せてあげること。

 

乃々をシンデレラガールに。

 

乃々の物語は、これからも紡がれていく。

 

 

 

 

〜〜〜こっから余談〜〜〜

 

 

 

 

 

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そんな素敵なカードでしたから、いっぱい引きました。1500連。総選挙の10連チケットが100枚あったのと、無償ジュエル200連分くらいと、有償が300連分くらい。

ちゃんとお金を落として運営に分からせないといけない。乃々は素敵なアイドルなんだと。

期待値的には16枚くらい引けててもおかしくないはずですが、そこまで運は良く無かったみたい。

 

一応、件の特訓コミュを見ているときの自分の音声もあったのでリンクを貼っておきます。地獄の釜の蓋が開いても許せる人向け。

[星降る森のおとぎ話]のコミュで泣く人 - YouTube

 

 

そうそう、8月27日には乃々の誕生日もあったので。イラストが大量で素晴らしいですね。

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誕生日にはお出かけをしました。表参道(デレの事務所は青学のあたり、というのが通説なので)でショッピングして東京タワーで夜景を見る。

誕生日プレゼントに帽子を買って植樹をしました。帽子には「もっと変装が必要になるくらい有名なアイドルになるぞ」という願掛けを込めている。

 

誕生日〜フェス限実装と、二週間くらいずっと乃々のことを考えていた。素晴らしい日々よ。

 

こんなところで筆を置く。それでは。